神奈川県をはじめ、埼玉県、千葉県に東京都を含めた南関東では、プロパンガス会社の訪問営業が非常に活発に行われています。相模原市も例外ではありません。中央区、南区、緑区の全てから「訪問営業を受けた」という相談を受けています(平塚市の事例などをご参照ください)。
ではプロパンガスの訪問営業における問題点とは何でしょうか。それは最初に提示された料金が維持される保証が一切ないことです。これは訪問営業に限ったことではありません。プロパンガスが約8割を輸入に頼っているエネルギーである以上は、常に価格変動の可能性があります。その意味で、決まった価格を維持するというほうに無理がありますし、価格維持の保証がないのはむしろ当たり前と言えます。
さて、訪問営業では多くの場合原価を割るほどの安価な料金表を提案してきます。つまり契約時点でガス会社側が赤字になるわけですから、その後には必要以上の値上げが待っています。価格の変動が当たり前とは言え、原価の値動きと関係なく値上げをされてはたまったものではありません。しかし現実には、海老名市の事例などに見られるように、こういった相談は後を絶ちません。
相模原市は、全国的に見てもプロパンガスの平均価格がかなり安い地域です。2014年12月のデータでは、1立方メートルあたりの単価平均が488円(税抜き)です。プロパンガスの料金が一番地安いと言われる関東地方でも、殆どの地域で単価の平均が500円を超えている状況ですから、相模原市にお住まいの方は比較的恵まれていると言えるかもしれません。
とは言え、他の市町村に比べて安いからと言って納得して良いかというとそうでもありません。プロパンガスの場合、平均価格を出すための正確なデータはどこにも存在しません。石油情報センターから発表されるデータは、消費者に出口調査をした結果ではなく、ガス会社の自己申告を基にしています。また、回答しないガス会社(販売店)も多くあるようです。これでは正確な平などは出しようもありません。
とは言え当協会にいただくご相談から受ける感じでは、相模原市については平均価格488円という数値にある程度の信頼性はあると思われます。一方当協会が適正としている相模原市の平均単価は330円前後です。ですから平均価格と適正価格の間には150円程度の差があることになります。仮に20立方メートル使用したとすれば、3,000円の差が出ます。これは無視できない金額ではないでしょうか。
先に書いたように、プロパンガスの料金が常に一定ということはあり得ません。しかし、その時々の適正価格というものは存在します。消費者としては、格安で売り込んでくる業者を選んで後で値上げされてしまうよりは、最初から適正な価格の維持を約束しているガス会社と契約するのが賢明なのではないでしょうか。