安心価格でLPガスライフを送るために
毎日、当たり前に使っているプロパンガス(LPガス)ですが、都市ガスより高額なのが常識になっています。LPガスの価格は都市ガスの2倍以上に設定されているケースも珍しくありません。その理由には、ガスの特性、料金体系のほか、一般的に知られていないLPガス業界特有の体質の問題が潜んでいます。
まずLPガスと都市ガスの基本的な違いを理解しましょう。LPガスの価格が高い理由を知って、大抵の人は疑問を抱くはずです。しかしあきらめてはいけません。LPガスを適正価格で利用する方法があります。LPガスの仕組みを理解し、安心できる価格でLPガスライフを送りましょう。
LPガスと都市ガスの違いを知ろう
意外に知られていませんがLPガスと都市ガスでは「ガスの原料・成分」の違いのほかに「供給方法」「料金制度」「ガスの発熱量(カロリー)」などの違いがあります。
供給方法の違い
LPガスは、ガス事業者がガス容器(ガスボンベ)を専用車に搭載し各家庭へ配送します。LPガス専用タンカーで海外から輸入された後、国内の一次基地(輸入基地)から内航船やタンクローリーに積まれ、中継基地である二次基地へ配送されます。
そこで常温タンクに貯蔵され、タンクローリー車で三次基地の充填所に配送されます。充填されたガスボンベは配送センターへ届けられ、そこからようやく一般消費者に配送されます。
一方、都市ガスは、海外からLNGタンカーで液化して運ばれてきた液化天然ガスが気化、減圧された後、球形のガスホルダーに貯蔵されます。そこから地中に埋まっている導管を通って各家庭まで供給される仕組みです。
LPガスと都市ガス料金制度の違い
LPガス料金は、電気・都市ガスなどの認可料金と異なりガソリンや灯油などと同様に自由料金です。
2017年2月に制定された「取引適正化ガイドライン」により、料金制度の透明性を向上させるためLP販売事業者が取り組むべき事項として、料金構成やそれに含まれるサービスの内容を消費者にわかりやすく示すことが必要とされました。
とはいえ、原油価格の高騰を理由に、LPガス事業者は自由に値上げを実施できる状況には変わりなく、値下げ時期にも規制がないため、未だその料金設定は非常に不透明といえます。
料金制度には「二部料金制」「三部料金制」「最低責任使用料金制」「複数料金制」などがありますが「二部料金制」が主流で「基本料金」と「従量料金」との合計で算出されます。
「基本料金」と「従量料金」
基本料金
ガスの使用量の多少に関係なく毎月生じる固定的な費用
- LPガスの容器やメーターなど、ガスを供給するための設備費
- 保安や検針にかかる費用など
従量料金
- ガスの原料費 ※輸入価格、為替レートの影響を受ける
- ガスの配送費 ※配送地域の環境、効率の影響を受ける
都市ガス料金も「基本料金」と「従量料金」との合計で算出されます。都市ガスの従量料金単価の大きな特徴は、原料費調整制度を適用しているため毎月変動していることです。これにより、都市ガスの原料となるLNGの購入価格の変動を適切な形で料金に反映させています。
その際、消費者への影響緩和策として調整幅には上限が設定されているので急激な料金の高騰はありません。近年はLPガス料金もこの制度を導入する事業者が増えてきています。
ガスの発熱量(カロリー)の違い
LPガスと都市ガスではカロリーに違いがあります。LPガスは1m3(立法メートル)あたり約24,000kcal(キロカロリー)であるのに対し、都市ガスは約10,750kcalなので、LPガスは都市ガスよりも約2.23倍もの熱量があるといえます。
熱量(カロリー)が大きいと、例えばガス給湯器を使った時に、冷水から温水に温まるまでの時間に差がでます。また、ガスコンロで料理をした際には、強火で一気に熱が通るという特徴があるため、中華料理店やラーメン店ではあえてLPガスを使っている店も多いようです。
一般的には都市ガスだからといって火力が弱いと感じることはありません。なぜかというと、都市ガス用のガスコンロは、熱量を補うためにガスの量が多く出るように作られているからです。
LPガス料金が都市ガスよりも高い理由
LPガス料金が高い理由の一つには、配送管理のコストが高いことが挙げられます。理由は「供給方法の違い」で説明した通りです。二つ目は、LPガスは料金公開が義務化されていないことにあります。LPガスは自由料金制のため料金に関する規制がなく公開が徹底されていません。
そのことから、事業者は自由に顧客ごとに料金を調整できます。料金開示がないので、消費者としては請求される料金が高いのかどうか知る術がないというわけです。これをいいことにLPガス事業者は自由に料金調整ができてしまうため、結果的にLPガス料金は高くなってしまうのです。
LPガス業界には長い間、事業者間の競争を避け、互いに高値安定を保とうとする慣習がありました。全国に2万社ほど存在する事業者の9割が小売専門の中小・零細企業です。本来、問屋業をしている大手なら小売業者よりも安く販売できるところ、直接の顧客である中小・零細事業者の存続を支えるため料金を下げずに販売してきたのです。
消費者として納得がいかない問題としては、多くのLPガス事業者が原油価格の変動をいいように利用して利益を得ていることです。原油が上がると一斉に料金を値上げし、逆に値上げの要因が解消された時期になっても値下げを先送りするのです。中には、自社の経営状況の悪化を理由に値上げをする悪質な事業者まで存在します。
しかし、この20年で業界は徐々に変化してきました。近年では2017年「取引適正化ガイドライン」が制定されたことにより、大手を中心に料金開示が進んでいます。未だ徹底はされていないという問題は残っているものの、自然競争が徐々に定着し極端な高値が減少してきているのも事実です。
LPガスと都市ガスの料金比較
LPガスの「平均価格」は「エネ研・石油情報センター」が地域ごとに毎月公表していますが、高値安定志向のLPガス事業者の料金を平均化したものです。LPガス「平均価格」は、都市ガスの1.8~2.0倍高いという結果が出ています。
一方「適正価格」は、「プロパンガス消費者協会」が独自でLPガスの適正な価格を都道府県ごとに提案した価格です。都市ガスの1.2~1.3倍を基準に設定したものです。消費者は都市ガス並みの料金でLPガスを使うことができ、なおかつLPガス事業者も利益が確保できる価格帯になっています。こうすることで安定供給を維持できるのです。
LPガスの適正価格と都市ガス料金を比較することが可能です(「都市ガスとの比較」参照)。現在のLPガス料金が適正価格を超えている場合には、ガス会社の変更をおすすめします。
簡単にLPガス料金を安くする方法
LPガス会社は自由に変更することができます。ただし、料金は事業者ごとにバラバラで、一般消費者には善し悪しが判断できないというのが現状です。現在のLPガス料金が「適正価格」を超えている場合は「プロパンガス消費者協会」へ相談してみましょう。
協会へのご相談はフリーダイヤルか問い合わせフォームから簡単にできます。氏名、住所、築年数、現在利用のガス会社名、現在のガス料金などの基本情報を提供すると協会が最適な新しいガス会社とガス料金プランを提示します。すべて無料のサービスですから安心して変更するかどうかを判断できます。
知っていただきたいのは、LPガスは都市ガスに近い料金で利用できるということです。これまでの常識は非常識といえます。正しい情報を入手して快適なLPガスライフを送りましょう。
まとめ
「LPガス料金は都市ガスよりなぜ高い?」というテーマで説明してきました。LPガス料金が高い理由はさまざまありますが、談合体質が根強く残るLPガス業界は、現在でも事業者同士の守りの体制がなくなっておらず消費者にとっては残念ながらまだまだ安心とはいえません。
しかし、消費者自らがLPガス会社を正しく選択すれば、LPガスを適正価格で利用することができます。LPガス料金に不満や不安をお持ちの方は「プロパンガス消費者協会」を通して信頼できるガス会社を利用しましょう。
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