意外と知られていないプロパンガスの基礎知識
プロパンガス(LPガス)の容器(ボンベ)に入っているガスは、気体ではなく液体だということをご存じですか?
LPガスは石油ガスを液化したもので、正確には液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)といいます。この頭文字がLPG(エルピージー)で「プロパンガス」や「LPガス」と呼ばれています。
それでは、意外と知られていないLPガスの基礎知識について、いくつか紹介していきます。
プロパンガス(LPガス)って何?
LPガスには「プロパン」と「ブタン」があります。プロパンはマイナス42°Cまで、ブタンはマイナス0.5°Cまでは気体の状態です。
プロパンが主成分のLPガスは気温が低くても使えること、火力が高いことから一般家庭や業務用の調理、お風呂、給湯器、暖房器具、ガスエアコンなどに利用されます。またブタンガスは携帯しやすいため、カセットボンベやライター、スプレーなどにも使われています。
日本の世帯数はおよそ5千数百万世帯ありますが、このうち半数もの世帯で毎日使われているエネルギーなのです。あまり知られていない驚きの普及率です。
プロパンガスはどこから来ているのか?
日本で使用されるLPガスは、約4分の3が海外から輸入され、残りの4分の1は原油を精製する際に発生する国内生産分です。
輸入元の構成としては、従来から主にサウジアラビアやカタール等の中東地域に依存していました。近年は米国産のシェールガス由来のLPガスの輸入比率が大幅に増加、現在ではアメリカが日本の最大LPガス輸入元となっています。
プロパンガスの供給システムは?
LPガスは産ガス国から専用のLPガスタンカーで運ばれ、国内の輸入基地(一次基地)から専用タンカー(内航船)やタンクローリー車で国内の二次基地へ行きます。さらに、家庭用は充填所でボンベにつめかえられ、小売事業者までトラックで運ばれ、そこからいよいよ一般家庭まで配送されます。
一般家庭に対するLPガス供給システムには、個別供給システムと導管供給システムがありますが、導管供給システムはさらに、法律上の区別により、小規模導管供給システムと簡易ガス供給システムに分けられています。
最近では、より安定した供給を実現しているほか、配送の合理化、保安の高度化、美観の向上など多くのメリットがあるバルク供給も普及しています。
プロパンガス3つの特徴
火力が高い
プロパンガスは都市ガスと比べて約2倍以上も発熱量が高いのが特徴です。発熱量が高いということは調理に適しているといえます。火力が高いと素早く食材に熱がいきわたり、おいしい料理が作れます。
その理由から、中華料理店、ラーメン店など調理に高い火力が必要な飲食店では、LPガスが多く利用されています。また、お湯も早く沸くので時間短縮にもつながります。
人体に無害
LPガスは、酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素の排出がほとんどなく、また地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量も少ない、地球にやさしいクリーンなエネルギーです。
ガスというと人体に有害なイメージがありますが、LPガスの品質は、不純物質の濃度が規定値以下になるよう厳密に管理されているため、燃焼時に発生する排気ガスには、硫化物やススなどの人体に有害な物質をほとんど含んでいないので、人体にも無害なエネルギーです。
災害に強い
LPガスは、他のエネルギーと比べて復旧が早いため、災害に強いエネルギーといえます。東日本大震災の時は都市ガスよりも12日、電気よりも58日も早く復旧しており、災害からの復旧がどのエネルギーよりも早かったという結果も出ています。
復旧が早い理由は、各家庭に置かれているガス機器を個別に調査・点検するだけで復旧させることができるからです。
プロパンガスの料金はどのように決められているの?
プロパンガス(LPガス)は都市ガスよりも高いといわれますが、あなたのガス料金は毎月いくらになっていますか?
実は、LPガスは自由料金のため販売事業者によって価格設定が異なる上、販売店のウェブサイトで正確な料金が開示されていないことが多いため、LPガス料金に対する情報が非常に不透明です。
毎月のプロパンガス(LPガス)代は、使用量に関係なく、毎月生じる固定的な費用である「基本料金」と、ガスの使用量に応じて算出される「従量料金」を足したものになります。
「従量料金」は、LPガス1m3(立方メートル)使ったら何円という「従量単価」に、その月のガス使用量を乗じて算出されます。つまり、下記のような、計算式となります。
LPガスの料金制として、この「二部料金制」が最も多くのプロパンガス販売店で採用されています。他に「三部料金制」や「最低責任使用料金制」というのもあります。またいくつかのプランから選択できる「複数料金制」があります。
どの料金制でも、ガス販売事業者がそれぞれ自由に価格設定する方式になっています。
LPガスは、配送、保安、供給設備の負担等の費用が多くかかります。特にガスボンベの配送、保安点検、集金・検針等は人手を要するため、基本料金内訳の大部分を人件費が占めています。
従量料金を決める従量単価については、原油価格の影響を受けやすいため、年に数回値上がりするのが常識のようになっています。ガス販売事業者は自由に価格調整できるため、自社に利益が出るように値上げのタイミングを増やし、反対に値下げを極力しないのが一般的です。
このように割高に販売するケースが多く消費者とのトラブルも多発するLPガス事業者に対して、2017年2月、経済産業省資源エネルギー庁がLPガスの法律の一部を改正し、以下のような内容で「取引適正化ガイドライン」を制定しました。
- 1:料金透明化の促進
- 標準的な料金メニューと平均的な使用量に係る月額料金例の公表を徹底。
- 2:契約時における料金の透明化
- 契約時、事業者は契約者に契約内容や料金情報等について丁寧に説明することを徹底。
- 3:契約後の料金の透明化
- 料金値上げ時に、変更内容や変更理由がわかるよう請求書等に記載を徹底し、30日超前に消費者に通知。
- 4:契約終了時の料金トラブルの防止
- 解約時の清算等に係るトラブルを避けるため、契約書面の必要事項記載の徹底と消費者への説明を徹底。
※参考:一般社団法人エルピーガス振興センター「LPガスガイド」より
しかし、現在でも完全に問題が解決しているわけではありません。LPガス消費者は販売事業者を自らの判断で自由に選べ、また自由に変更することができます。消費者側で、より透明性のある販売店を選ぶことが大切です。
確実にプロパンガス料金を安くする方法がある!
プロパンガスは消費者の意志で自由に販売店を選ぶことができるので、適正価格の事業者を選ぶことで、現在のガス料金より最大で約30%も節約することが可能です。
ガス販売店の乗り換え方法は「プロパンガス消費者協会」にお尋ねください。協会は全国約100社のガス販売事業者の協力を経て、適正価格でLPガスを継続的に供給できるような仕組みを構築しています。
あなたが現在利用しているLPガス販売店の料金診断と、適正価格のガス事業者への乗り換えを無料でお手伝いします。
乗り換えの流れはシンプルで、手続きのためご自宅に販売店の担当者が訪問しますので、申し込みにサインしていただければ、その後、約1週間程度で新しいガス販売店がボンベなどの設備を交換し利用開始となります。
まとめ
プロパンガス(LPガス)は、基礎知識でご紹介したようにメリットがあるエネルギーですが、自由料金であるがゆえに料金が高く、協会が設定した適正価格よりもはるかに高いLPガス料金を支払っている消費者が圧倒的に多いのが現状です。
しかし、プロパンガスが自由料金ということは、逆に消費者側は納得できる価格の販売店を自由に選び、変更することができます。正しい知識を身に着けて、より透明性の高い販売店を利用することで、ガス代の大幅な節約ができます。
「プロパンガス消費者協会」の乗り換えサービスなら、手間なく無料で適正価格を維持してくれる優良ガス会社の紹介をしてもらえます。
LPガスを現在利用している方、これから利用しようと考えている方は、LPガスの基礎知識を十分理解し、賢くプロパンガスを利用しましょう。
参考になるページ