神奈川県では一般世帯の約36%がプロパンガスを使用しています。一方都市ガス使用世帯は約60%です。東京都、大阪府ほどではないにせよ、全国でもプロパンガス使用世帯数が少ない県です。
神奈川県内では7つの事業者が都市ガスを供給しています。埼玉県では19社もの都市ガス事業者が供給していますから数の上では少ないのですが、逆にメーター数(顧客数)の多い、言いかえれば規模の大きい都市ガス事業者が多いと言えるでしょう。
料金面の比較をすると、実は世間に流布しているイメージほど「プロパンガスは都市ガスより高い」とはなりません。これは都市ガス事業者も会社によって料金が違うことと、プロパンガスの価格が会社ごと、場合によっては顧客ごとに違うためです。もちろん安価に提供している都市ガスであればプロパンガスより高いということは殆どありません。しかし、平均的な価格の都市ガスと適正価格のプロパンガスを比較するなら、プロパンの方が安いということも珍しくないのです。
よく神奈川県は埼玉県、千葉県とならび、プロパンガスの激戦区などと言われます。これはプロパンガス会社の訪問営業合戦が激しいことを意味しますが、都市ガスではこのようなことはありません。もちろん都市ガス会社も営業には回っているのですが、供給可能な地域が事業者ごとに決められているため、他社と顧客をとりあうことがないのです。これに対しプロパンガスは保守、保安さえ確保できれば供給地域の制限はないため、同じ家に何社ものガス会社からセールスマンが訪ねてくることもあり得ます。
前段に書いたように、神奈川県はプロパンガスのセールスマンが非常に活発に活動している地域です(相模原市緑区などの例参照)。ただし、消費者の方にとってはセールスマンの言葉が信用できるのかどうかは難しいところでしょう。なぜなら、多くの場合提示される料金表は驚くほど安いもので、今まで自分が支払ってきたガス料金との差が大きすぎるからです。それ自体はもちろん悪い事ではないのでしょうが、あまりの差に逆に不安になり、当協会にご相談されるケースも多いようです。
当協会では、どこの会社が良いとか悪いとかいう評価はいたしません。そういった機関ではないからです。また、殆どのプロパンガス会社が何通りもの料金体系を持っている以上、外部の人間が「ここなら安心」と自信を持って勧められることはほぼないのです。
ただし、セールスマンの売り込みを信用できるかどうかの判断は出来ます。単純に、提示された単価に着目すればよいのです。当たり前ですが、原価を割るような単価でプロパンガスの供給は出来ません。これはどんな商品でも同じことです。しかし、プロパンガス業界では、原価割れで売り込みをするセールスが横行しています。そんな会社と契約すれば、元をとるためにあっという間に値上げをされてしまうでしょう。ですから、まず「提示された価格が安過ぎないか」ということに注意を払う必要があります。